内容、監督、キャスト等一切の情報を知らない状態で、ただ「ダンケルク」というタイトルだけで観に行きました。
いやぁ、久々に外れも外れ、大ハズレでした。
「ダンケルク戦」と言えば、第三帝国がまだブイブイ言わせてた頃の戦闘なんで、最初の10分さえ観ておけばいい「プライベートライアン」のノルマンディー上陸シーン程度には痛快なものを期待していたんですが、完全に裏切られましたね。
迫力無し、ドイツ軍無し、血糊無し
「プライベートライアン」のオマハビーチが地獄なら、「ダンケルク」の砂浜はプライベート・リゾートビーチですね。
そらイギリス兵ものんきに紅茶飲むわ。
たった3機のスピットファイア、しかも1機はいつのまにか(笑)いなくなってるから実質2機のイギリス空軍に無双されて、ドイツ空軍、リゾートビーチに2,3回しか攻撃してきません。
いくら無能ゲーリングのドイツ空軍でも、そりゃないでしょう。
Wikipediaにはダイナモ作戦の損失はドイツが航空機132機、イギリスが474機って書いてあるんですけど。
スツーカの急降下音はまぁ、昨今の映画らしくいい感じに音響効果を作っていますが、画面上ではドイツ軍は徹底して「なんか黒いシルエット」だけ。
ドイツ兵も全く画面には出てきません。
姿は見えず、銃撃音がするだけ。
唐突に派手な発砲音がしたかと思うとどこからともなく弾が飛んできて、なんとなくイギリス兵が死んでるっぽい?
そんなシーンがダラダラ続きます。
要するに、ハーケンクロイツを映したくないのでしょう、商業的な理由でね。
スツーカが急降下爆撃をごくたまに成功させますが、これも、なんか砂煙あがるだけ。
しかも全編通して2回?ぐらい。
英仏軍の兵士が何となく吹っ飛んでるように見えなくもないけど、死体が散乱するどころか、この映画1滴の血も出ませんぜ、旦那!
もはや戦争映画とすら言えないんじゃないでしょうか。
余りの退屈な展開に、上映中何回か寝そうになりました。
何が言いたいのかさっぱりなストーリー
戦闘シーンが子守唄程度だとして、じゃあヒューマンドラマでもあるのかと言うと、これも皆無。
誰が主人公というのもなく、視点も時系列もバラバラになっている素っ頓狂な編集のおかげで、まるでタイムリープ映画を観ているかのような錯覚に陥ります。
ハリー・ポッターのできそこないみたいなイギリスの子供兵、ドーヴァー海峡渡ってやってきたボランティア漁船御一行様、イギリス空軍パイロット2名(隊長機はいつの間にか落ちてた)、あと浜でなんやかんやあってイギリス兵だかフランス兵だかオランダ兵だかが入れ替わり立ち代わり映画の主観となります。
名前すら語られないキャラも含め、5,6人の視点が切り替わり、しかも微妙に時間が遡って同じシーンを別視点から再度繰り返したり、失笑ものです。
ただでさえ状況が混乱している大規模戦闘のシーンでそんなスタイリッシュ(笑)編集をしたらどうなるか・・・ハイ、どの飛行機が落ちて、どの船が沈んだのか良く分かりません。
つまり、どっちが勝ってるのか負けてるのかすらよう分からん、って状態です。なんて高度な演出!
さらに酷い事に、そもそもこの映画、筋らしい筋がありません。
最初から最後まで、紳士だね英国漁民!無敵だね英空軍!陸軍早く船に乗っておうち帰りたいね!というぼんやりした「事象」を淡々とリピートしているだけです。
特に酷いのがトム・ハーディ演じる英空軍のパイロットで、エースパイロットと言うにはあまりにスーパーマン過ぎて唖然とします。
一人でメッサーシュミット3機(ぐらい?)、ハインケルっぽい爆撃機2機(たぶん?)落としてます。
数が曖昧なのは、先に書いたスタイリッシュ(笑)編集のせいです。が、とにかくビデオゲームのようにこの方一人で無双してます。
あのー、Wikipediaにはダイナモ作戦の損失はドイツが航空機132機、イギリスが474機って書いてあるんですけど?
逆じゃないですかね、彼我の戦力差的に。
で、映画ではドイツ軍なんと、これで全滅。打ち止めです。
まるでインディーズ映画を観ているかのようなスケールの小ささに悲しくなってきました。
しかも、このスーパーパイロット、自機の燃料が無くなって敵地で慣性飛行中に、なぜかたった1機ノコノコやってきたスツーカもついでに撃墜します。
いや、音だけのスツーカなんですが、最後の最後でこれが聴こえた時は「やったぜ!せめて最後に一発、イイトコ見せてやれよ!」とワクワクしました。
この映画で唯一、手に汗握るシーンですよ。
ところが・・・やたら急降下音だけダラダラ引っ張っているので「いやな予感がする。もう英空軍1機もいないはずなのに、まさか、まさかな。」と思ったら案の定、燃料切れて後は敵地に不時着するだけのはずのトム・ハーディ機がいつの間にか間一髪でスツーカを落としたらしいです。
(´∀`*)ポッカーンですわ。
要するによくある連合国媚び媚び映画
最初から最後まで愚にもつかないアホな展開なんですが、エンディングクレジットを観て納得しました。
監督クリストファー・ノーランかよ。
お前か、ああ納得だ。
この媚びへつらい、ご都合主義の保身に走った中身ゼロの映画は最近のノーランそのものです。
この人の映画、「メメント」「フォロイング」はまぁマシなんですが、それ以外の作品はホント下らない。
何て言ったか、ロケット乗ってブラックホールの方へちょっと行って来る映画(インターセプターだっけ)を観て、あぁコイツの映画でまた金と時間を無駄にしたと後悔したんですが、アレと全く同じ状況でした。
トム・ハーディ、ケネス・ブラナー(「私が海軍で良かったな(キリッw)」)という俳優はどちらも私のお気に入りなんですが、こんなつまらない作品に道化役で出て欲しくなかったなぁ。
2017年
監督 クリストファー・ノーラン 106分 出演: トム・ハーディ マーク・ライアンス ケネス・ブラナー |
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オススメ度:0.0/5.0 | お金と時間の無駄 |