そんなに言うほど観ていないような気がしますが、2017年のアニメはなかなか豊作だったんじゃないでしょうか?
視聴途中、速攻で円盤購入を決定したものが多かったのと、それらはOP、ED、サントラも同時購入したというのが昨年の印象です。
2017年アニメのお気に入りを私的ランク付けするとこんな感じです。
- プリンセス・プリンシパル
- 幼女戦記
- けものフレンズ
- メイドインアビス
- この素晴らしい世界に祝福を!2
- 少女終末旅行
- サクラダリセット
- キノの旅 -the Beautiful World-
- 宝石の国
- 正解するカド
10本挙げろと言われると、そんなに無いよというのが例年ですが、昨年はそんな事なかったですね。まぁ9本目あたりから苦しいですが。
途中で切ったものとか、最後まで観たけど・・・てのも、勿論あります。
あと、Fateとか西尾維新とかダラダラ金儲けの為に続編作りまくってるのは最初から観てません。
プリンセス・プリンシパル
完全にノーチェックでしたが、円盤、サントラ、OP、ED、キャラソン全て購入対象になりました。
特に力の入ったオープニング映像が素晴らしく、まずは一話でも見てみようという気になります。
女子高生、スパイ、ロンドンの壁、スチームパンク、反重力物質というキャッチーなギミック満載な一方、脚本は大河内一楼が描くジョン・ルカレ系の辛気臭いスパイ戦で、私の好みだらけ。
設定だけ聞いたら、ちょっと間違えば一瞬で空中分解する危なっかしい要素だらけですね。
しかもアニメオリジナル作品ですよ。
Studio 3Hzと共同制作していたアクタスは本編放送中にバンダイに買収されたり、よく最後まで放送を落とさずに完成させたなあと思います。
スタッフに傑出した人たちが多かったのでしょうか、梶浦由記さんの音楽はこの手の辛気臭い絵面には安定のドハマリだし、5話のアクションシーンは劇場アニメですら今まで観た事が無いクオリティでした。
昨今のアニメは劇場版ですらCGエフェクトてんこ盛りでごまかして、キャラの動きが非常に貧相な剣戟シーンばかりですが、プリンセス・プリンシパル5話の列車内のシーンを観ると、描ける人はいるところにはいるんだ、とビックリ仰天します。
メインキャストの方々は初めて聞く名前ばかりだったんですが、こちらもまた全員ハマッていて素晴らしかったです。
終盤の作画が目に見えて苦しくなってきたのと、黒星紅白さんのキャラはイラストはともかくアニメにすると毎回イマイチになるのが難点でしょうか。
幼女戦記
異世界転生して俺TUEEE物は数あれど、大手企業の人事部で出世コースを歩む人格破綻者の40代オッサンが、仕事上の私怨から線路に突き落とされ、死んだ際に対面した神を煽った結果、第一次大戦直前のドイツっぽい国(異世界)に幼女として転生するというこの設定がすでにタダモノではありません。
私はタイトルと主人公の幼女の絵面だけで、最初から期待値MAXだったのですが、実際に内容を観ても期待以上の作品でした。
これもBlu-ray BOXとサントラ、OP、EDを購入しました。
まず、Blu-ray版の音が素晴らしい事に触れておきましょう。
重低音マシマシで、一話から明らかにTV版と違う音響になっています。
サブウーハー用チャンネルが追加されており、一話冒頭の塹壕戦のシーンでの迫撃砲の発射、着弾音が凄まじく重い音になっています。
魔法と科学が共存している良くあるファンタジー世界なんですが、魔導航空兵?とか言う設定で兵士が空中を飛び回る戦闘シーンでも、まるでジェットエンジンのように表現されている飛行音の迫力が、強調された重低音でいや増しています。
転生後の幼女を演じる悠木碧さんの演技が最高で、この方は最近どの役も非常に印象的なんですが、もはや原作小説を読んでも漫画版を読んでもターニャ・デグレチャフの声は完全にアニメの声で脳内再生されてしまいますね。
良くある幼稚な戦争物とは違い、ドイツ(っぽい国)を「せんそうぉはじめたゎるぃひとたちだょ」みたいな描き方をしていないのがとても嬉しい。
難を言うと、主人公のターニャはまぁ許容範囲として、他の女子キャラ(といっても2人ぐらいしかいない)の見た目が全く可愛くない点でしょうか。
キャラデザは漫画版に総取っ替えしてくれませんかね。せめてムーミンだけでも。
けものフレンズ
2017年の覇権アニメと言っていい作品です。
これもBlu-ray付き書籍とOP、ED、サントラ、キャラソンと全て購入しています。
せっかく2期が決まったと思いきや、制作サイドのゴタゴタ?利権?でたつき監督降板という最悪の展開をしていますが、1期については紛れも無い傑作だと思います。
擬人化美少女萌えとは全然違う、動物萌えというジャンルはかつてなかったのではないでしょうか。
「いや、ケモナーなんて昔から居ただろ」とおっしゃる向きもあるかと思いますが、そうじゃない。
ケモミミとかケモしっぽとかは美少女に動物アイコンを合成したキャラクターデザインの話であって、吉崎観音の絵や漫画版「けものフレンズ」はそこどまりですが、アニメ「けもフレ」は発想が真逆です。
「動物が人間の見た目になった」場合に生じる萌えをキャラとして表現したと思っています。
でないと、ジャガーが川でイカダを泳いで引っ張り、渡しをやっている。
しかも最初主人公一行を横目で見ながら素通りする、なんてシーンにはなりませんし、そんなシーンが成り立つ脚本なんて上がってこないでしょう。
Blu-ray付き書籍を読む限り、1期のスタッフなくしてアニメ版の続編が作れるとは到底思えません。
非常に残念ですね。
メイドインアビス
はい、これも最初ノーチェックでした。
が、Blu-ray BOX 、サントラを購入しました。OP、EDはまぁ、割と詐欺(世界観的に)でしたかね。
出来が悪いわけではなく「まどマギ」的OP詐欺という意味です。
このアニメは背景美術と音楽、キャストさんの演技が素晴らしい作品でした。
ストーリーが実はかなり陰惨で、アニメ13話を視聴後、原作漫画を速攻で全巻購入する程ひきこまれました。
キャラクターの絵柄がいわゆる「ぷに萌え」系で、個人的にはあまり受け付けず、それ故にスルーしていましたが、蓋を開けてびっくり、まるで「苺ましまろ」に出てきそうなか細い小学生が常時ベルセルクの『蝕』状態の生き地獄である縦穴「アビス」へたった2人で挑むという、冗談抜きに心が痛むお話です。
途中で3人になるのですが、その3人目の登場人物である「ナナチ」が「けもフレ」とは真逆のケモナー向けキャラでして、この子(CV井澤詩織)の演技が本当に素晴らしく、13話はここ数年で一番泣けるアニメでしたね。
主人公のリコ役の富田美憂さんは若干18歳との事ですが、こちらも非常に頑張っておられる。
原作がユニークというか特殊なので、他ではしないような演技が要求されたかと想像に難くないのですが、いち視聴者として観る限り、メインキャスト3人は完璧に思えました。
また、背景美術については、まず2017年のアニメではダントツじゃないでしょうか。
めでたく2期も決まったそうですが、けもフレのような悲しい結果にならない事を願うばかりです。
この素晴らしい世界に祝福を!2
1期はBlu-rayを全巻購入しました。原作も全て読んでいます。
2期はちょっと慣れてきたというか、若干トーンダウンしてしまいましたかね。
ですが、頭を空っぽにして楽しめる枠としては、1期に続いて極上の作品かと思います。
いわゆる異世界転生で俺TUEEEなんですが、ワンパターンな他の作品に対するアンチテーゼとも取れる本作の個性的なキャラクター設定がとても面白い。
転生前の主人公はありがちなヒキニートなんですが、「このすば」の主人公君はそれを変に取り繕わず、とにかく楽して生きたいんだ、危険なんてまっぴらゴメンだ、と堂々と主張しちゃうタイプですね。
ハーレム物と言えばそうなんですが、周りのヒロイン達も見た目はいいのに全員どこかしら性格に難があり、いわゆるお約束の正統派ヒロインというのが皆無なのがイイ。
原作の軽快なテンポはそのままに、低カロリーな作画ながらギャグ演出は過剰でこれでもかと笑わせにきています。
声優陣の演技と声質が最高にハマっているのがまた素晴らしい。
主人公&ヒロイン3人の声優さんはこの作品が代表作だと堂々と言えるのではないでしょうか。
1期も2期も10話しかなく、11話だけBlu-ray切り売りで原作とセット販売する商法はちょっと頂けないですかね。
まぁ買うんですが、普通に1クール12話やって欲しい。
少女終末旅行
原作の存在は知っており、メランコリィなタイトルが気になって買おうかと思ったのですが、絵があまりに雑っぽくてやめたのが何年か前の話です。
インパクトのあるタイトルには余り期待しすぎないようにして、2話までとりあえず観るとこのアニメの良さが分かるかと思います。
1話はオープニング、エンディングが無いため、原作未読者はどんなテンションの話なのか全く分からないまま視聴する事になるのが、唯一最大の失敗じゃないでしょうか。
2話で追加されたオープニング、原作者つくみず氏が一人で描いたらしい鉛筆手書き風エンディングを観ると、ああこれは「希望の絶たれた世界での二人の日常」アニメなのかとようやく気づきます。
「終わるまでは終わらないよ」「絶望と仲良く」この言葉の意味が分かると一気に泣けてくるアニメですね。
キャラデザのアイコン度が高いため一見それとは分からないのですが、実はよく見ると瞳や表情、ちょっとした仕草がちゃんと描かれていて、声優の力量も非常に高く、たった二人でとても細やかな演技をしています。
力の入った背景美術、サウンドデザインと相まって、この二人の芝居が映像として素晴らしい完成度になっている。
私はアニメ視聴後、速攻で原作を全て購読したのですが、原作も音が無いだけでちゃんと絵が演技をしています。アニメは原作にかなり忠実なんですね。
もし原作を先に読んでいたら、小さい1コマだけの表情なので見落としていたかもしれないキャラの心の動きというのが、アニメのおかげで良く分かりました。
正直、私はいわゆる日常系アニメがかなり苦手な部類で、大ヒット作でも全く良さが理解できない事がしばしばあります。
女子高生、中学生の日常で、取ってつけたような嘘くさいテンションではしゃぎまわるだけ、でも「アレはかわいいを楽しむんだ」とか言うのは三話と観るに耐えられないんですが、少女終末旅行は真逆ですね。
原作からして終末は決定しており、もはや自力では救いようがない世界なんですが、二人の旅と言うのは異常でもなんでもなく「いずれどちらかが先に死ぬ人生(絶望・終末)を、二人で生きていく(旅)」という、あたりまえの日常を描いている。
これが毎話、言葉や表情の端々に表れていて、ジワッときます。
12話で二人が手をつなぐんですが、アニメではそのつなぎ方が原作を改変して恋人つなぎになっている、これは大変良い改変でした。
OP、ED、サントラは購入済み、Blu-rayは未発売ですが、マラソン決定です。
サクラダリセット
能力者が跋扈する街で、主人公の浅井ケイが様々な能力者を丸め込んで小賢しく使役しながらバトルすると言う、ありがちと言えばありがちな話ですが、キャッチーなタイトルにもあるとおり「リセット」という能力が核になって「頭脳戦」をするあたりと、マクロス的な三角関係の行方が毎回引き込まれるアニメでした。
この手の能力戦、しかも頭脳戦となるともう、アラを探せばいくらでもあるんでしょうが、そんな気も起きないぐらい面倒臭い設定てんこ盛りで、正直ぼんやりとしかストーリーは楽しめません。
24話というボリュームも相まって、観るのがちょっと疲れるアニメなんですが、なぜランクインしているかというと、それでも観ている最中は毎回先が気になるというのと、真のヒロインである相麻菫がとてもイイ娘なんですね。
CV悠木碧さんなんですが、この方の悲しみを絞り出すような演技がとても素晴らしい。
12話からのEDはこの相麻菫しか出てこないのですが、絵も切なくて色っぽ過ぎます。
正直主人公の浅井ケイはロボットにしか見えないし、同じくロボットみたいな表ヒロインの春埼美空になんでベタ惚れしているのかさっぱり理解できないのですが、要するに能力戦とかは客寄せのガワに過ぎず、本当は浅井ケイ、春埼美空、相麻菫の三角関係がメインのはず、だったんでしょうね。
まぁ実際は相麻菫だけが一人苦しんでいる可哀想な構図なんですが・・・。
この子、未来予知なんて能力があるせいで自分の恋の結果まで知らざるを得ない。
なので死んでまで能力を失い、苦しみから逃れようとするのに、浅井ケイは(そんなつもりは無いにしろ)自分のために彼女を復活させ、菫も自分以外の女の子と幸せになるためと承知しながら惚れた弱みで彼を助けるという、なんとも切ないお話ですね。
能力で復活した彼女は相麻菫と言えるのか、最初に死んだ相麻菫は自分が選ばれない苦しみから本当に逃れる事ができたと言えるのか、後半何度も問われるコレがこの作品のキモだったように思います。
1~12話までのOP曲だけ購入しました。
キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series
アニメ化としては2回目なんでしょうかね。タイトルに the Animated Series って追加されているのが2017年版ですね。
前のアニメはCVがタレントで酷い棒読みだった。
映像がCGも駆使して今風に綺麗になり、主人公キノのCVも悠木碧さんになったので映像作品としては見違えるように良くなりましたね。
お話はタイトル通り、現代社会を風刺して、キノが旅で巡るいろんな国に異常な風習を設定しエピソードを連ねていくと言う、まぁ「オサレ系ラノベあるある」ですかね。
この手の大人向け寓話は安心して楽しめる一方すぐ飽きが来てしまうのですが、前シリーズも今シリーズも全話楽しんで視聴しました。
まず主人公のキノが色っぽくてイイ。
キャラデザ黒星紅白さんなのでセル画だとイマイチなんですが、デフォルトで少年と間違われるぺったんこな体つきなのに、なんか雰囲気がエロいんです、この子。
演技派悠木碧さんも、完全に少年声モードで演じてらっしゃるし、ちびっ子で肌も一切見せないんですが、なんかフェミニンなんですよ。
ごくごくまれにライダース脱ぐんですが、ただのYシャツ姿で色っぽさ倍増するんですよね。
私だけですかね、この子にエロスを感じるの。
あと、原作者さんの「社畜なんてゴメンだ。旅とバイクが好き。相棒のバイクとは心が通じ合える。」という願望(幻想)が直球で描かれているあたりが好ましいです。
まぁ成功した作家さんだからそんな事が言えるんでしょうよ。
前アニメシリーズでは扱っていない話が殆どなんですが、コロセウムの話と「大人の国」(キノの出発点?)は同じ話をリメイクしてありました。
コロセウムは前シリーズの方が2話使ってた分、内容的に濃くて良かったかな。
宝石の国
少女漫画というかBL漫画っぽい雰囲気で、原作付きです。
先生と呼ばれる袈裟を着た坊さん?が美少年の園を統べながら、月人と呼ばれるなんか観音像みたいな敵を撃退している微妙なお話で、つまり美少年の園を描きたいだけに見えます。
が、タイトルにもある通り、この美少年達と坊さんが「宝石」で出来ているという何とも欲望にストレートな設定が個性的ですね。ここまで露骨だといっそアリかもと思ってしまいます。
宝石で出来ているというのは言葉通りの意味で、彼ら、石のように砕けますし、砕け散った宝石の破片を集めてくっつけると再生します。
これをCGで綺麗に表現しているのが1番の見所です。
そもそもこのアニメ、生物としての人間は存在しないようで、美少年達も性差というものは無い様に見受けられますし、声優も先生以外全員女性で、口調も半数のキャラが女っぽいです。
要は宝塚ですね。
キャラの名前は宝石の名前そのまんまで、ダイヤだのゴシェナイトだの名乗っています。
宝石らしく硬度という概念がキャラの戦闘性能みたいな扱いがされてて、いかにもアフタヌーンに掲載される漫画らしく、ユニークですね。
最初に書いたように、彼らヅカアイドル達がそれぞれの宝石の色を模した透明感のある髪で、CGで表現され、ヌルヌル動いたり砕け散って目玉が転がったりするのが、ちょっと見た事ない映像で革新的じゃないでしょうか。
背景のCG率も結構高いし、終盤の液体金属の描画とか、かなり大変だったと思うんですよね。
主人公のフォスフォフィライトの声と演技が自然体で凄くイイ感じで、声をあてている黒沢ともよさんって良く見る気がするけど誰だっけと調べたら「結城友奈は勇者である」のおとなしい妹役の方なんですね。
声の感じが全然違ってて驚きでした。
結城友奈の方は前シリーズから痛々しい出来で(脚本が特に)、惰性で観るのも苦痛なレベルなんですが、「宝石の国」の方は個性的な映像、設定という点で最後まで楽しめました。
ストーリーの方はまぁ・・・セリフ回しはちょっと面白いですかね。
正解するカド
フルCGで魅力的なキャラクターやフラクタル次元計算の『カド』というモノリス的な立方体を描いており、プロットも高次元の生命体と人類のファーストコンタクトというなかなか面白いものでした。
意欲作「だった」と言えましょう。
有坂あこ氏の描くキャラクター原案がとても魅力的で、東映アニメーションお得意のCGでその魅力を良く再現していたと思います。
高次元の生命体(もはや神に等しい)と日本政府の接触をわりとリアルに描写しており、毎話続きが気になって楽しみにしていました。
・・・が、オチが、オチがなぁ。
何十次元も高位の存在がやって来た目的が、実は3次元の人類の何か思考だかパワー的なもの?を求めて侵略してきたんですよ、ってのが明らかになってからの失速感がハンパなかったです。
ヒロインが変身したのは驚いたし、良かったです。可愛いかった。
ですが、あのオチ・・・菊池秀行の妖獣都市を思い出しましたよ。
美男美女のキャラクター達と、1話の一○式戦車は一見の価値アリです。
前半のワクワク感が凄かっただけに、惜しい、本当にもったいない。
OP、EDの曲は壮大でなかなか良かったのですが、音楽のほう全く記憶に残ってません。
これは設定資料集ぐらいしか購入しませんでしたねぇ。
まとめ
こうやって見ると悠木碧さん大活躍です。
ここに挙げた10本は全て声優さんパワーが凄かったですね。
けもフレの尾崎由香さん、プリンセスプリンシパルの今村彩夏さんやアビスの富田美憂さん、少女終末旅行の久保ユリカさんは、恥ずかしながら今回初めて知った方々なんですが、凄くハマリ役だったと思います。