「ガンスリンガーガール」とは、相田裕さんの描いた漫画で、私が最も好きな作品の1つです。
自分の中で1番好きな漫画は何かと聞かれたら、真っ先にこれと「エルフェンリート」が思い浮かぶぐらいですから、マイランキング1位と言っていいでしょう。
単行本15巻で完結しており、Kindle版も出ています。
この漫画は私が今回訪れたローマ、フィレンツェのみならず、ミラノ、ヴェネツィア、ナポリと言ったイタリア全土の目玉観光地が舞台となっており、単行本11~14巻の巻末にはイタリアについての解説ページが追加されています(この巻末解説ページが後ろの巻に行くに従って増えていくのも面白い)。
タイトルから分かるとおり間違っても観光漫画ではなく、イタリアはあくまで舞台に過ぎないのですが、非常に心に残る作品で、私は何度もリピートしているのですが毎回泣けますね。
何回かアニメ化もされており、こちらについても決してクオリティが低いわけではないのですが、原作未完結の状態で、1部のエピソードに限定されていたのと、この作品のボリュームと内容を1クールでまとめるのはそもそも不可能なので消化不良感は否めませんでしたね。
今回ローマ、フィレンツェを旅行するにあたって、私の中では密かに「あのガンスリンガーガールの聖地巡礼だ」という思惑で巡っていました。
元々あまり写真をパシャパシャ撮らない性質なんですが、今回はいくつか紹介したいと思います。
コロッセオ
とにかくでかい、石の重量感が凄い、ですね。
床は完全に抜けていて、地下室跡が丸見えです。
この地下室からステージ上に動物とか剣闘士がせり上がってくる仕掛けだそうな。
地下室部分には観光客は入れません。
行ってみて初めて知ったんですが、コロッセオって真円じゃなくて、楕円なんですね。
ガンスリでも度々登場します。
テルミニ駅
ローマの中央駅で、イタリアの東京駅のようなもの?
規模は東京駅の方が全然大きいです。
国際空港から専用線で30分ですし、イタリア全土を観光する場合にはこの周辺にホテルを取るのが便利じゃないでしょうか。
地上2階、地下1階で、2階は食堂とかお店ですね。
1階、地下にもお店は沢山ありますが、東京、新宿、渋谷駅のようなダンジョンではありません。
私の印象ではせいぜい「京都駅」です。
テルミニ駅は東西南北の十字に出口が開放されている造りです。
1コマ目はその出口の一つで、バスターミナルがある側ですね。
そこから駅の出口付近を描いています。
2コマ目には地下へのエスカレーターと、奥に券売機、2階部分も見えます。
2人がもたれかかっているのは自動券売機で、1コマ目の出口を入ってすぐのところに何列も並んでいます。
写真撮っておけば良かったな。
チルコ・マッシモ(Circo Massimo)
え、何?と思われるでしょうが、私の写真センスが無いだけで、これは広大なトラックというか競技場跡です。
奥の石壁みたいなのが貴族だか皇帝だかのための観覧席だったそうで、そこから下で競技をしているのを観戦するんですね。
ベン・ハーという有名な映画がありますが、あの映画のラスト、クライマックスシーンで戦車(チャリオット)戦が行われた舞台です。
歩いている人のさらに下段にトラックがあり、写真を撮っているこちら側(手前側)にも当然観客席があったらしいです。
左下奥がカーブしてくるっとこちら側に回って来ているのが分かるでしょうか?
これがいわゆるトラック部分ですね。
この写真はトラックの半分あたりから撮っていますので、当然反対側にも同じだけの空間があります。
これを全て取り囲むようにあのベン・ハーの競技場ができていたわけですから、オリンピックとか開催しちゃう国際競技場レベルの物凄く巨大な建造物だったという事ですね。
ガンスリではヘンリエッタがジョゼに手を引いてもらいたくて、わざと歩車道境界縁石を歩くシーンの背景に見えています。
サンタンジェロ城(聖天使城)
「天使と悪魔」という映画のクライマックスシーンで使われましたね。
10ユーロぐらい払うと中に入れますが、私が行った時は外周しか観て回れませんでした。
中央の塔?住居?部分には行けませんでしたが、「天使と悪魔」で登場した、教皇執務室まで通じている隠し通路は見ることができました。
当然封鎖されてますが。
中央下の白い門は出口で、手前通路を左に上がって行くと正面へ回れます。
パンテオン(Pantheon)
もうローマでは珍しくもなんとも無いんですが、とにかくデカい石!
中に入れます。セキュリティチェックがありました。
入り口付近。思わず見上げて写真を撮りたくなるデカさです。
行って初めて知ったんですが、入り口はこんな方形をしていますが、後方はドーム型のホールになっています。
中は要するに古い教会で、ミサを行うための祭壇や椅子がありました。
ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のお墓だそうです。
このヴィットーリオなんちゃらは良く知りませんが、何で撮ったかというと鷲の紋章が気になりまして。
これ、ローマで度々見かけたんですが、ナチスの国章ですよね。
総統はそもそもドイツを千年帝国、第三帝国にするという構想でしたし、側近の建築家シュペーアは「優れた建築は数千年後の廃墟の姿でも賞賛されなければならない」という主義の人だったので、ローマ帝国を意識している事は当然でしょう。
彼らはひょっとしてこの紋章を見て、これだ!と思ったんでしょうか。
ちなみに、ヴィットーリオなんちゃら2世さんは大層な名士のようで、
こんな凄い記念館が建てられ、観光名所になっています。
パンテオン内部に戻ります。
この彫刻の下に、ラファエロの墓があります。
これだそうで。
映画「天使と悪魔」では「ここじゃない!」とか言って別の所へ向かいましたね。
ガンスリではマルコーとパトリッツィアの回想シーンで、毎回このパンテオン前広場が出てきますね。
マルコーもパトリッツィアの同僚から「パンテオンのお巡りさん」とか呼ばれてます。
スペイン広場
言わずと知れたスペイン広場。
お昼ごろ行ったら人多すぎィ。
ただの階段の上にオベリスク?
日常的なのか、この日はたまたまサッカーの試合がローマであるためか、柵があちこちに巡らせてありました。
ローマの休日ですな。
写真撮ってませんが、階段を上りきったところから見下ろすとこんな感じ。
正面の通りは高級ブランドが免税価格で買えるというのでショッピングスポットとなってますね。
ボルゲーゼ美術館(Galleria Borghese)・ボルゲーゼ公園(Villa Borghese)
完全予約制、2時間で客総入れ替えの映画館のようなシステムの美術館です。
これ、世界からお客が殺到するそうで、なかなか予約チケットが取れないとの事。
ローマ中心部からちょっと離れた位置にある、ボルゲーゼ公園という広大な森林公園の中にあります。
中央の小さな入り口は地階へ降りるもので、地階には予約確認書(voucher)のプリントアウトを見せてチケットを購入する受付、手荷物預かり所、カフェ、土産物屋、トイレなどがあります。
美術館の入り口は階段を上がったテラス部分です。
どこかの貴族のお屋敷だったんでしょうね、1F~3Fまでが展示場だったんですが、どの階にも大きな石の暖炉がありました。
この美術館には、カラバッジョ、ベルリー二の超有名な彫刻、絵画が展示されていて、美術ファンには一生のうちにぜひとも訪れておきたい場所だそうな。
一定の大きさ以上の手荷物は預けなければいけないが、カメラ禁止ではない
入館時間からして完全予約制で、ネットで申し込んだ際の予約確認書(voucher)を地下の受付で提示し、入館料を払ってチケットに替えておく必要があります。
これは、入館30分前ぐらいにはやっておきましょう。
そこそこ並びます。
同時に「手荷物を預けなければいけない」という看板が立っています。
私は初めてだったのでネットで調べたんですが「一切手荷物は持って入れない」って書いてあるサイトが上位にあったので、なんだそうなのか、とスマホも含めて何もかも預けてしまいました。
なので館内については写真1枚撮れませんでした。
ところが実際入館してみると、普通にカメラ持ってる人もいるし、平気で撮影しています。
そもそも、立て看板にも「2.0リットル以上の持ち物はクロークに預けろ」みたいな記述がされてたんですよ・・・ネットの情報を鵜呑みにすると時々こういう事が起きて後悔します。
H.I.Sのサイトには「規定以上の大きさのお荷物をお持ちの場合は~」と書かれていますが、こちらが正しい情報でしたね。
展示されている目玉の作品ですが、世界から予約が殺到していつも埋まっているのもうなづけます。
凄いです。
ベルリーニの「アポロとダフネ」ですが、ギリシャ神話知らない人間にはなんのこっちゃって彫刻のようですね。
ですが、これが大理石ってマジか、とか、あのシーンを観て来たのかベルリーニは、って感じで、私は本当に生で見て良かったと思いました。
カラバッジョの絵柄は良く映画やTVで見かけるので、ああこの人ね、って感じなんですけど、やはり生で見ると薄気味悪さの迫力が違いましたね。
ガンスリではこのシーンですね。
「ローマ市内 ボルゲーゼ公園」と書かれています。
この公園は本当に広く(東京ドーム17個分)、美しく、殆どの場所に芝が生い茂っていて、このシーンのようにシートを広げて寝転がっている人とか、直に寝転がってる人とか、お弁当広げている人とかいました。
私の印象では「奈良公園?」
バチカン市国
言わずと知れたキリスト教の総本山です。
イタリアではない別の国なのに、パスポート不要で入れます。
私は決して信心深くないカトリックなんですが、ここには1度は来てみたいと思ってました。
バチカン美術館
中庭にある謎の巨大松ぼっくり像。
この松ぼっくりはローマではたびたび見かけます。
バチカン美術館内、ラファエロの間というラファエロ特集エリアが1番人気。
これは中でも有名な「アテネの学堂」という壁画。
歴史上の有名人がいっぱい描いてあるそうです。
ラファエロの自画像もカメラ目線で描かれてました。
現代アートコーナーにダリの絵がありました。
美術館に限りませんが、バチカンの建物の中はとにかく物凄い量の収蔵品が所狭しと並んでいる且つ、床以外全て壁画で埋め尽くされているのが圧巻です。
全ての壁、天井に絵が描いてありますぜ。
それも何十メートルもの高さの天井、壁なんで、凄いんですけど・・・言っちゃなんですが「金の力って凄い」という感じ。
バチカン美術館から、システィーナ礼拝堂に入れます。
映画「天使と悪魔」で、次の教皇を選挙するコンクラーベの行われた建物です。
ミケランジェロの天井画がもの凄いですね。
というかもの凄いとしか言いようがないです。
幾らでこの仕事請けたんだミケランジェロさんよ。
残念ながらシスティーナ礼拝堂では写真禁止でした。
サンピエトロ大聖堂
こちらはサンピエトロ大聖堂の内部。
まぁ世界で1番豪華な教会でしょうね。
現代の価格で何兆円ぐらいかかったんでしょうか、この建物。
ベルリーニ作の天蓋だそうで。
柵があってこれ以上近づけません。
サンピエトロ大聖堂・キューポラ(cupola)
サンピエトロ大聖堂のドームの上にあるキューポラ(クーポラ)まで上る事ができます。
入場料が必要で、10ユーロで途中までエレベーター、8ユーロで最初から階段、というお値段でした。
古い記事見ると7ユーロと5ユーロなので、お値段は上昇傾向にあるようですね、キューポラだけに。
10ユーロ払いましたが、エレベーターを降りてから320段の階段を上らなければいけません。
8ユーロだと551段の階段になります。
これね、320段ならまぁ何とかいける感じでした。
ただ、注意書きにもあるように、お年寄りや体力に自信の無い人はやめておいた方がいいです。
混雑を避けるため、何人かずつしか入場できないんですが、上に上がれば上がるほど、前を進む人のペースが落ちてきて階段が詰まります。
もともと一人しか通過できない狭い階段なんですが、頂上に近づくにつれ狭さも角度も増して、壁に体が挟まれる状態になります。
まるで洋ゲーFPSのように通気口の中を進んでいるような感覚です。
大戦中のUボートの中ってこんな感じなんだろうかと想像していました。
恐らく閉所恐怖症の人はアウトじゃないでしょうかね。
手すりもない階段で、最後はロープを掴んで登るようになってましたよ。
てっぺんまで登ると展望台になっていて、バチカン市国が一望できます。
絶景なんで、体力に自信のある方はぜひ登る事をおすすめします。
キューポラは360度ぐるりと周る事ができるので、写真も全方位撮る事ができます。
この建物は教皇の居所だそうです。
柵がフレームに入るので、写真を撮る際は柵から手とスマホを出して柵の外から撮りました。
サンピエトロ広場
お昼ぐらいのサンピエトロ広場。
これどうなってるかというと、奥のサンピエトロ大聖堂の入り口からここまでぐるっと行列で待ってるんですね。
反対側までズラッと。
私は行列に並ぶのが死ぬほどイヤなので、朝7時に行きました。
そんな時間なら10分程で中に入れます。
上の写真で、柱廊を見ると4重の柱になっていますね。
これを、ベルリーニ・ポイントに立ってそこから見ると
アラ不思議、柱が手前の1本しか見えません。
どちらを向いてもこのように、奥の柱が見えないという、ベルリー二設計の不思議とされていますが、要は円周の中心点がここって事では?
左1コマ目は「天使の門」と呼ばれるもので、地下鉄Ottaviano駅を降りてバチカンへ向かうと10分程で見えてきます。
この門をくぐるともうサンピエトロ広場ですね。
左5コマ目はサンピエトロ広場正面の通りで、サンタンジェロ城の前を通っています。
右2コマ目は完全にキューポラから見た景色ですね。
このコマやキューポラからの写真で、オベリスク付近まで続いているちょっと黒くなっている部分は、パイプ椅子がズラッと並べられています。
これは何かというと、日曜日のミサに参加する人のために用意してあるんですね。
カラビニエーリ(軍警察)
観光バスでローマ市内をぐるっと回っている時に偶然見つけました。
カラビニエーリです。
軍警察と訳されることが多いですが軍のいち組織ですので、アメリカ軍で言うと海兵隊みたいな位置づけでしょうか。
エントランスに、黒地に赤のスラックスを着ている隊員らしき人物も見えます。
ちなみに、この通りの同じ並びを数十メートルほど行ったところに、ピエトロ・ベレッタと書いてあるお店もありました。
観光バスじゃなかったら降車して、自分へのお土産に何か買っていたかと思います。
ガンスリに出てくる「社会福祉公社」は軍隊でも警察でもない特殊機関という設定ですが、対テロという性質上、良くこのカラビニエーリという単語が出てきます。
主人公のジョゼ、ジャンの兄弟は、2人とも元はカラビニエーリの第1パラシュート連隊所属だったという設定ですから、超エリート戦闘員って事ですね。
劇中では2人とも優男に見えるんですが、物語終盤に行くにつれ戦闘狂の本性が顕わになるのもうなづけます。
2ページ目、ジャンが着ている制服がまさにカラビニエーリの、黒地に赤のラインが入ったものですね。
3ページ目のジョゼは迷彩服なので、街中で警備のために立っているのもカラビニエーリだったのかも知れません。
ローマの「ガンスリンガーガールゆかりの地」だけでこれだけのボリュームになってしまいました。
ローマに限ってみてもこれはほんの一部なので、いかにこの国が見どころ満載かが分かりますね。