漫画「ガンスリンガーガール」には「五共和国派」というテロリスト集団の中の勢力の一つ「ミラノ派」に属する重要なキャラクターが何人も出てきます。
そのためミラノが舞台になる事も度々あり、ミラノの観光名所もチラっとですが出てきます。
ミラノには超有名な観光スポットがいくつもあるので、今年はミラノにも宿をとって何ヶ所か巡りました。
アイキャッチの写真はミラノ中央駅です。
ローマのテルミニ駅、フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ駅、ベネチアのサンタ・ルチア駅はせいぜい地上1階、地下1階の2階層ぐらいの、単純な構造の駅で、迷うなんて事は絶対にありません。
対してミラノ中央駅は地上3階、地下1階ぐらいあるかなり大きな駅で、日本の駅に比べれば構造は単純なんですが、それでも結構広いのでちょっと迷います。
ミラノのドゥオモ
イタリアには腐るほどあるデカい教会で「もう見た」なんですが、ミラノのドゥオモはスケール的に別格です。
それもそのはず、サンピエトロ寺院に次ぐ世界で2番目に大きな聖堂で、完成まで6世紀かかったとの事。
中も凄く広いですし、尖塔屋根に登る事ができます。
どちらもチケットが必要です。
チケットじたいは売り場の入り口で5分ほど並ぶと買えました。
チケットにはいくつかグレードがあって、ファストパスのチケットだと大聖堂や屋根に登るルートが優先コースになっています。
どういう事かと言うと待機列が短くなってるんですね。当然その分お値段が張ります。
というか、高いパスを買った人とそうでない人とで並ぶ列を分けているだけのような気がしました。
高いパスを買う人が少ないので結果、待ち時間が少なくなっているだけです、たぶん。
確かに大聖堂へ入る行列、屋根へ上る行列ともにそれなりに長いんですけど、お昼ごろ行ってせいぜい10分~20分程度の長さでした。
行ってみて「うわ、これ無理だわ」ってぐらい混んでいたならファストパスを買った方がいいでしょうが、そうでもないなら普通のチケットで構わないと思います。
聖堂の中はこんな感じ。まぁいつも通りなんですが、このドゥオモはとにかくデカい。
この写真は祭壇に近い位置で、全体の1/3ぐらいしか映っていません。
さすが世界第二位の大きさです。
巨大なステンドグラスが至る所にあります。
イエスの弟子の一人であるバルトロマイの有名な像。
皮剥ぎの刑にあって殉教したため、この像は生皮を剥がれた状態で自分の皮をマントのように羽織っています。
なかなかにグロい像ですが、観光客はみんな写真を撮っています。
ドゥオモの屋根
屋上に行くにはエレベーターがあります。が、途中からは歩きで結構階段を上らなければいけません。
1番安いチケットだとエレベーターは使わず、最初から階段で上るようです。
エレベーターに入る際にはいつもの金属チェック、鞄チェックがありますので、上着のポケットに小銭とか入れておかないように。
エレベータを降りた直後ぐらいはこのような高さです。
イタリア旅行中にはクーポラや鐘楼は飽きるほど上ったんですが、このドゥオモの屋根は他とは違う凄さがあります。
この大聖堂は世界最大級のゴシック建築らしいんですが、その名に恥じないというか、とにかく尖塔に彫刻がこれでもかとばかり彫られています。
後で調べたら135本の尖塔に2245体の彫刻があるとの事。
屋根に上ると間近にその尖塔と彫刻を見ることができるんですが、何せ高さ108mの大聖堂です。下を見ると目が眩みます。
こんな高い塔にこんな精緻な彫刻があるっていうのが信じられない光景でしたね。
彫刻にはいちいち避雷針が設置してあって、そりゃ雷落ちるよな、この高さに屹立している塔じゃ、と思いました。
正面の像の背中にワイヤーのようなものが見えますが、これが避雷針で、ほとんどの彫刻に付いています。
下に見えるのは美術館で、この写真は正午ごろですが、かなりの行列になっています。
真正面の遠方に見える頭でっかちなビルはミラノ初の高層ビルとの事。
こうやって見るとミラノはローマやフィレンツェと比較すると近代的な都市の感じがします。
補修作業ための足場が沢山あります。
ガンスリでもこのドゥオモの屋上が描かれています。
©YU AIDA 2006(相田裕/アスキー・メディアワークス「GUNSLINGER GIRL⑦」Kindle版P16)
©YU AIDA 2006(相田裕/アスキー・メディアワークス「GUNSLINGER GIRL⑦」Kindle版P18)
ここが上れる最も高い場所です。正面の塔のてっぺんには聖母マリアの黄金像(マドンニーナ)があります。
マドンニーナはマドンナのイタリア語で、聖母、聖母像という意味ですね。
この聖母マリア像はミラノを象徴する文化遺産ですが、この屋上から見上げてもまだ遥か高みにあり、肉眼ではさっぱり見えません。
塔の基部は修復作業中でした。
このドゥオモは正式名称を「サンタ・マリア・ナシェンテ教会」と言い、「生まれつつある聖母のための教会」という意味だそうで、聖母マリアがこのような高みから下界を見守っているという事ですね。
ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア
ドゥオモ広場の一角にある巨大なアーケードで、いろんなお店が入っています。
レストランも沢山あります。
中央のドームを見上げたところ。
ドゥオモから見下ろすとこんな感じ。
大聖堂のすぐ隣にあります。
©YU AIDA 2006(相田裕/アスキー・メディアワークス「GUNSLINGER GIRL⑦」Kindle版P19)
最初のコマにドームの天蓋が描かれていますね。
まさにこの辺からの視点だと思うんですが、像の向きが逆なので反対側かな。
ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」
ミラノに来たからには見ておかなければなりません。
実はこれ「サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会」に隣接する修道会の食堂の壁に描かれた壁画なんですね。
映画「ダヴィンチ・コード」とかで見たはずなんですが、普通の油絵かと思ってました。
で、見学ツアーは完全予約、完全入れ替え制です。中には15分間しかいられません。
チケットは公式サイトで訪問時間も決めて予約しなければならず、世界中からこれ目当てに観光客が来るためチケットを取ることじたいが至難の業となっています。
ボルゲーゼ美術館と同様に、予約なしで当日チケットを買うとか不可能です。
まぁこういうのは海外だろうと日本だろうと人気の場所ではどこでも同じなので、旅行計画をいかに早く立てられるかにかかっていますね。
公式サイトでの予約ですが、良くある「〇月〇日の予約開始はいついつから」といったシステムになっており、自分が行きたい日程の予約が始まる際にはPCの前で全裸待機しておく必要があります。
そこまでしても、予約開始と同時に瞬く間にチケットは売り切れていきますから、手際が悪いと「チケット取れなかった」なんて事に普通になります。
とは言え、ツアー会社や現地のダフ屋(予約代行業者)がチケットを押さえているので、旅行の日程に合わせてチケットが予約できなかった場合はそれらの裏ルートから何とかなります。本来の倍以上の値段を払う事になりますが。
「最後の晩餐」見学までの流れと注意
何とかチケットを入手出来たら、入場時間の30分前ぐらいには「サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会」へ到着しておきましょう。
この教会の場所は「ドゥオモ広場」から徒歩で15分~20分ぐらいのところですので、ドゥオモを見学してからミラノの街を見学しながら歩いていくっていうのもアリです。
教会についたら、ちょっと離れた「チケット交換所」で予約券(バウチャー)をチケットに交換してもらいます。
また「最後の晩餐」が描かれているのは教会の中ではなく隣接した修道会の食堂なんですが、大きな鞄は持って入れません、飲料水や食べ物もダメ。
サコッシュやハンドバック程度なら大丈夫。カメラもOkで写真は撮って構いません。
チケット交換所に無料のセキュリティロッカーがあるので、あらかじめこちらに入れておく必要があります。
係員が、NGな荷物を持っている観光客には「ロッカーに入れろ」と指示しますので、言われたら素直に預けましょう。
チケットに記載された入館時間の10分ぐらい前に修道会の入り口でチケットを見せると中に入れます。
上の写真で、左側のEUの旗が掲げられているベージュ色の建物が入り口ですが、時間に対してあまり早くに行っても「まだ早ぇーよ」と追い払われます。
ここまでの流れは「ボルゲーゼ美術館」と全く同じですね。
ただしあちらは2時間の入れ替え制ですが、こちらは15分の入れ替え制です。
まぁ壁画1枚しか見るものありませんからねぇ。
修道会の入り口から中に入っても、正確に予約した時間になるまでは壁画のある食堂に入れません。
というか、中には2重、3重の自動ドアがあって、少しづつしか進めないようになっています。
空調も含めてめっちゃ厳重に管理されてます。監視カメラがずーっとこっち見てるしね。
なんかバイオテロものの映画で良くある滅菌室を通るシーンを彷彿とさせます。
前のツアー客が完全に食堂から退出すると、ようやく食堂の入り口の自動ドアが開きます。
中めっちゃ暗いし、ヒンヤリしてます。
カメラもビデオ撮影もOkなようですが、フラッシュはダメでしょうね、この雰囲気では。
この写真はiPhone XS Maxで撮ったんですが、カメラの機能でイイ感じに明るくしてくれてます。
が、実際にはこんなに明るくありません。
反対側の壁にはキリストの磔刑のフレスコ画が描かれています。こちらはダ・ヴィンチ作では無いようです。
スフォルツェスコ城
城と言ってますが、城塞というのが正しいようで、城壁に囲まれただだっ広い広場のような場所です。
こちら正門なんですが、四方に別の出入り口があります。
この門の上に描かれている「ヴィスコンティ家の紋章」なんですが、イタリアの車メーカー「アルファ・ロメオ」がエンブレムに使用しているので有名です。
アルファ・ロメオの本拠地はこのミラノ市なんですね。
で、ガンスリのキャラクターであるフランカのこのセリフです。
フランカの出身は明確に描かれていませんし、立場的には「ミラノ派」とは関係ないフリーの活動家なんですが、ピノッキオは「ミラノ派」のクリスチアーノに育てられていますので、彼女はミラノにゆかりの深いキャラクターであると言えるでしょう。
フランカについてはいかにも北部の人間という描かれ方がされていますので、ひょっとしたら彼女自身ミラノ出身である可能性が高いですね。
ミケランジェロの遺作「未完のピエタ」
このスフォルツェスコ城にはミケランジェロ最後の作品、しかも未完の「ピエタ」があるので有名です。
城壁の1画に小さな博物館のような建物があり、このピエタだけが展示されています。
入場料は10ユーロぐらいだったかな。
ピエタとはキリストの亡骸を抱いて嘆き悲しむ聖母の像や絵を表す、いわゆるジャンル名です。
このピエタはミケランジェロが88歳で死ぬ間際までノミを振るっていた作品との事。
手前に見えるキリストの右腕は絶対に体と繋がりそうにない位置にあるのですが、多分これは最初に彫った部分が気に入らなくて破棄した名残りじゃないでしょうか。
横から見るとこうなっていて、実は手前の層である程度彫刻は完成していたんだけれど、気に入らないので全部削り落としたように見えました。
このピエタじたいは見ての通り未完なんですが、見る人が見るとミケランジェロの過去の作品と比較しても凄さが分かるようです。
今回はこのへんで・・・。