私は、ゲーミングPCのサウンド再生にはBluetoothトランスミッターとSONYのワイアレス・アクティブノイズキャンセリングヘッドフォンWH-1000XM3の組み合わせを使っています。
今回、Amazonで偶然見つけたサンワダイレクトのBluetoothトランスミッター400-BTAD008を、しばらく悩んでからポチりました。
今まで使っていたトランスミッターと入れ替えたのですが、実際使ってみて、これはBluetoothトランスミッターとしては最高の製品だと確信しましたので、紹介したいと思います。
JPRiDE JPT1からの乗り換え
PCからのサウンド送信は、今まではJPRiDEとか言う良く知らないメーカーのトランスミッターを使っていました。
このトランスミッターは、理由は全く不明ですがBluetoothトランスミッターの殆どがそうであるように充電式で、充電池の持ちは最大13時間と余り長くありません。
ですが、充電しながらも使用できるのでそこは問題無く、充電コネクタを接続しっぱなしで使っています。
このトランスミッターを使っている理由は、対応コーデックがaptX LL, aptX, SBCの3種類のみである、という点です。
aptX HDに対応していない、と言うのが重要でした。
aptX HDに対応しているトランスミッターは、接続するヘッドフォンがaptX HDに対応していると問答無用でaptX HDでコーデックする、というのがBluetooth周辺機器界隈の呆れた実態です。
つまり、ユーザーはコーデックを選べないんですね。
いや、それの何が問題なの?最適なコーデックを自動で選択してくれる方が楽じゃない、と思われるかもしれませんが、Bluetoothというク〇規格には使い物にならないぐらいの遅延という致命的な問題があります。
そして、この遅延は使用するコーデックによって決まります。
私が使用しているSONYのヘッドフォンWH-1000XM3は、このシリーズの2世代前のモデルになります。
ゲーミングPCでワイアレス且つ、強力なノイズキャンセル性能を持つヘッドフォンを使いたいとなれば、私はこの製品がベストだと思います。
このシリーズはXM3の後、XM4、XM5と毎年モデルチェンジを行い、その度にステマサイトと胡散臭いレビュアーが全員揃って、毎回必ず「シリーズ最高の製品」と大絶賛しています。
ですが、私の期待を裏切ってXM4以降は劣化してしまったので、ゲーミングPC用のワイアレスヘッドフォンはXM3一択です。
XM4、XM5がダメな1番の理由は、コーデックの選択肢からaptX系が消滅したからです。
ライセンス料をケチったのか、いつもの「俺んとこの技術使えや」SONY独自規格LDACをゴリ押ししたいからか、いずれにせよロクな理由じゃないでしょう。
モデル | コーデック |
WH-1000XM3 | SBC, AAC, LDAC,aptX,aptX HD |
WH-1000XM4 | SBC, AAC, LDAC |
WH-1000XM5 | SBC, AAC, LDAC |
SBC, AAC, LDACなんてコーデックは遅延が酷すぎて、ゲームでは全く使い物になりません。
動画視聴も画面との音ズレが聞くに堪えないレベルでダメダメです。
要するにこれらのコーデックは音楽を聴く用途にしか使えません。
Bluetoothでほぼ遅延を感じず、プロゲーマーでも無い限り全く問題無いと言えるコーデックは「aptX Low Latency」のみです。
aptXはaptX LLに比べると明らかに遅延を感じますが、まぁギリギリゲーミング用途に使えます。
ですが、aptX HDになるともうダメ。
ゲーミングには使えません。音ズレが非常に不快なレベルになります。
WH-1000XM3はaptX, aptX HDに対応しているため、トランスミッターがaptX HDに対応していると、遅延の酷いaptX HDで通信してしまうという問題があります。
なので、aptXには対応しているが、aptX HDには対応していないこのトランスミッターを使っていたわけです。
「aptX HDがベスト」だと勝手に判断してしまうのがBluetooth周辺機器界隈の呆れたところです。
常識的に考えて、ユーザーに選ばせるのが普通じゃないでしょうか。
なぜ買い替えようと思ったのか?
今回、JPRiDE JPT1から400-BTAD008に替えようと思った理由は、JPT1の送信距離に不満があったから、の1点につきます。
JPT1の最大通信距離は10mとなっています。
これは、Bluetoothのもう一つの規格であるPower Classに影響を受けます。
Bluetoothの場合、送信出力がPower Classによって定義されており、以下のように定義されています。
Class | 最大通信距離 |
1 | 100m |
2 | 10m |
3 | 1m |
条件によってこの通りとはいかないし、電波法での制限内に収める必要もあるらしいですが、最大値としてはこういう区分になっているようです。
で、JPT1は商品説明によると最大通信距離10m、Class 2と書かれています。
ヘッドフォン側のWH-1000XM3は最大通信距離10m、Class 1です。
どちらも最大通信距離は10mなので、障害物の無い直線距離10mであれば最大性能を発揮すれば繋がるのでしょう。
しかしながら、ウチは4LDKのマンションなんですがパソコン部屋からリビングへ飲み物を取りに行ったりするとヘッドフォンの音が途切れ途切れになり、そのまま接続が切れます。
ヘッドフォンをしたままキッチンへ行ってレンチンしようとすると、必ずヘッドフォンの通信が切れてしまいます。
おそらく部屋やキッチンの壁が障害になっているんでしょうが、それにしてもこの程度の距離で切れるか、と言うのが納得できない感じです。
これがJPT1を使っていて唯一の不満点でした。
性能面でほぼ非の打ち所がない400-BTAD008
サンワダイレクト400-BTAD008の良い所を挙げます。
- Power Class 1かつ、アンテナパーツが付いている。
- 対応コーデックが多いうえ、自分で選択できる。
- 充電式では無く、常時給電タイプである。
これだけの特徴を備えているBluetoothトランスミッターは、探しても見つかりません。
まさに唯一無二で、痒い所に手が届く仕様となっています。
Bluetoothトランスミッターのユーザビリティが最悪な常識を完全に覆している製品です。
一体どうしてサンワダイレクトなんていう、言っちゃ悪いですがパッとしない企業がこんな製品を企画したのか本当に謎。
これがAnkerの製品、とか言うなら分かるんですが。
Power Class 1かつ、アンテナパーツが付いている
明らかに通信距離が延びました。
パソコン部屋からリビングの端まで行って、テラス側の窓を開けるという動作をしている間もずっと音が途切れません。
キッチンの最奥まで行くと流石に障害物が多過ぎるためか途切れますが、冷蔵庫から物を取り出したり、レンチンしたり、流しを使うといった位置関係では問題ありません。
これでかなりストレスフリーになりましたね。
FF14のマッチング音「シャキーン」も、これで聞き逃しません。
そもそも、やたら小さくて安いBluetoothトランスミッターはアンテナ端子が基板に付いているだけで、アンテナパーツがありません。
400-BTAD008にはアンテナパーツがちゃんと付いているし、Power Classも1なので通信距離が公称通りになった感じです。
対応コーデックが多いうえ、自分で選択できる
対応コーデックは、SBC、apt-X、apt-X Low Latency、apt-X HD、FastStreamです。
SONYの独自規格LDACには対応してませんが、あんなものすぐ絶滅するので不要です。
AACにも対応してないのでApple信者とかには不利なのかな?
素直にaptX使いましょう。
まず使用コーデックを自分で選択できるという製品を他に見た事がありません。
コーデック選択は側面に付いているこの音量調整用ダイアルを+方向か-方向に長押し、という仕様になっています。
LLの方向へ長押しすると、aptX HD > aptX > aptX LLという方向へ切り替わり、HDの方向へ長押しするとaptX LL > aptX > aptX HDという感じで切り替わります。
インターフェイスは分かりづらいですが、ちゃんと機能するし、aptX HD対応のヘッドフォンを接続していてもaptXに切り替える事ができます。
コレ、本来当たり前の機能だと思うのですが、他のポンコツトランスミッターでは出来ないので感動モノですね。
また、選択したコーデックや入力端子(光か、AUXなのか)は本体上面のLEDが光るので判別できます。
充電式では無く、常時給電タイプである
400-BTAD008は側面のmicro-USB端子に電源を接続します。
今時micro-USBなのがちょっと残念ですね。
そこはUSB-Cにして欲しかった。
常時給電タイプのメリットですが、充電量やバッテリーの劣化を気にしなくて良い、という点があります。
Bluetoothトランスミッターで常時給電タイプは珍しいですね。
そもそもBluetoothトランスミッターを充電式にするメリット、理由が全く無いと思います。
充電式にするのは「外に持ち出す」事を想定しているんでしょうが、それってどういう状況なんでしょうね。
スマホにはそもそもBluetoothトランスミッター内蔵されてますし、ノーパソも最近の製品には入ってるのでは?
不満点無し?
いつもならここで、400-BTAD008の残念な点という段落を書く所なんですが、パッと思いつきません。
無理やり捻りだすとすれば、
- コーデック選択の方法がマニュアル無しでは分からない、非直感的インターフェイス
- 非常に稀な確率で、選択コーデックがリセットされる時がある
- 「ノイズゲート機能」は無いらしいが、無音になる事がある
ですね。
まぁ、どれも個人的には大した問題ではありません。
コーデック選択の方法がマニュアル無しでは分からない
この製品、本体側面に物理スイッチが沢山あるので、どこかにコーデック選択用のスイッチがあるのかと思ったらありません。
マニュアルを読むと、音量調整ダイアルを右へ長押し、左へ長押し、でコーデックを切り替えると書いてあります。
機械慣れしていてマニュアルを最初は読まない人間ほど面喰いますね。
ただ、これも最初の1回戸惑う、というぐらいなので不満点と言っちゃ悪いですね。
非常に稀な確率で、選択コーデックがリセットされる時がある
コーデックって1回選択したら常にそれが選ばれて欲しいじゃないですか。
というかそれが当たり前の機能だと思います。
だって毎回、非直感的なインターフェイスでコーデックを選択し直さなきゃならないなんて面倒過ぎますよね。
400-BTAD008は電源をオフにしてから再度オンにしても、以前選択したコーデックが選ばれた状態になっています。
…なっているんですが、ごくごく稀にこの設定がリセットされる事があります。
私の場合だと、aptXしか使わないので常にaptXになっていて欲しいのですが、電源を入れるとaptX HDになっている事が1度だけありました。
非常に稀なケースなので何らかのバグだと思うのですが、コーデックのLED表示なんて毎回チェックするわけでは無いので、いつのまにかaptX HDに変わったまま暫く気づかない、という事はあり得そうです。
「ノイズゲート機能」は無いらしいが、無音になる事がある
「ノイズゲート機能」とは、入力元音声のボリュームレベルが低いと、ノイズと見なして音の出力自体がカットされるというものらしいです。
これ、確かにそうなります。
PCでAmazon Prime Videoを観ていると明らかなんですが、映画って環境音のみの静かなシーンがやたらあるじゃないですか。
この時、静かな音は流れているはずなのにヘッドフォンは無音になります。
文字で表現すると、サーッ(静かな環境音)、ブツッ(無音)、サーッ(静かな環境音)という感じで、ある程度のボリュームレベル未満だと完全無音が挿入されます。
「ブツッ」という不快な音が乗るわけでは無いですが、いわゆるホワイトノイズ的な環境音が一切カットされて、耳には「途切れ途切れ」に聞こえますね。
ただ、これは映像作品を観ている時に、静かなシーンで確実に起こる、というだけで、ゲームをプレイしている際やYouTubeを観ている時などは発生した事が無いです。
まぁ「無音と見なす」レベルの音量未満になる事が、映画ぐらいでしか起きないという事なんでしょう。
で、この現象、以前使っていたJPT1でも起きていました。
というか勝手にこの機能が働いている、というのが正しいのでしょうが。
なので、これはBluetoothという〇ソ規格の仕様では?と思っています。
あるいはBluetooth機器界隈の仕様。
もちろん、こんな余計なお世話機能が無いに越したことは無いです。
ですが、実際問題「ノイズゲート機能」が無いBluetoothトランスミッターって存在するんでしょうかね?
と思って調べたら、某ECサイトのQ&Aでは『BTAD008には「ノイズゲート機能」は無い』と回答されています。
Qノイズゲート機能はありますか。
A本機はノイズゲート機能は搭載していません。
ただ、テレビの音が小さい場合、音の減衰により再生中音が途切れる可能性がございます。
とハッキリ書かれています。
音の減衰…?音の減衰って何よ?って感じですね。
このECサイトの情報がどれだけ公式回答と見なせるのか分かりません。
ですが実際問題、音量が低いパートは音切れ状態になりますからね。
まぁそもそも、個人的にPCとBluetoothヘッドフォンで映画を観る場合って、真剣に「映画を観るぞ」というスタンスでは無く「ちょっと休憩して映画でも観るか」という時なので、私はあまり気にしません。
せいぜいが、「こんなもんか。やっぱりBluetoothなんてク〇規格は人類のため、さっさと絶滅すべきだよなあ。」と思うぐらいです。
ゲーミングPCでBluetoothヘッドフォンを使うならこの製品一択
こう言い切っていいぐらいおススメの製品です。
特に、aptX HD, aptX LL両対応のヘッドフォンを使っている人なんか、これ以外のトランスミッターを選ぶ理由がありません。
低遅延、高音質のどちらかを選べる上、中間のaptXも選択肢にありますからね。
サンワダイレクトって、特に悪い印象も無ければ良い印象も無いメーカーですが、どちらかと言うと「安かろう悪かろう」寄りのイメージだと思います。
なのに、他社のどこも出していないこんなユーザービリティの高い製品を作るなんてちょっと見直しましたね。