下呂温泉というのは岐阜県の飛騨山脈の山あいにある温泉街で、日本三名泉の一つらしいです。
他の2つは有馬温泉(兵庫)、草津温泉(群馬)だそう。
私はあまり旅行そのものに行かないのですが、ちょっと気分転換に下呂温泉で一泊してきました。
下呂までのアクセス
JR名古屋駅からJR高山本線で特急「飛騨」に乗り、乗り換え無しで1時間40分程かかりました。
愛知県の名古屋から岐阜県に入って岐阜駅を過ぎ、飛騨金山駅も過ぎてようやく下呂駅に着きます。
地図を見るとまさに山間で、標高も368mあるそうです。
私は岐阜駅を過ぎた辺りから、高所へ上がった時の耳がツーンとなる感じがしました。
この特急、1時間に1本しかありません。
さらに先まで行くと世界遺産の白川郷があるためか、ツアー客らしき外国人が沢山乗っていましたね。
老舗の温泉旅館、水明館に宿泊
水明館と言うのは下呂温泉でも老舗の旅館で、公式HPによると5ツ星だそうです。
下呂駅から徒歩3分の距離、飛騨川に沿って広大な敷地を構えています。
下呂に行くなら泊まるのはココ、と言われるぐらい有名らしいですね。
ちなみにここ、全国旅行支援の対象外です。
個人的には人混みが大嫌いなので、あの手のキャンペーンの対象外なのは全然OKというか、逆にありがたいです。
これは飛騨川から水明館の方を撮った写真ですが、右端から左端まで映っている建物全て、水明館です。
右から山水閣、飛泉閣、臨川閣という名前が付いています。
映っていませんが、臨川閣のさらに左には青嵐荘というのもあるらしいです。
相当デカいです。
こういうのを見ると「昔懐かしのバブル時代の名残?」という印象を受けるのですが、この旅館の創業はなんと昭和7年だそうで、まぁ昔懐かしなんて表現は失礼ですね。
昭和7年て1932年ですよ?
第二次世界大戦も始まってないどころか、満州事変の翌年ですぜ。
ロビーにはそうそうたる著名人が宿泊した際の写真がこれでもかと飾られていました。
最大級のVIPは天皇皇后両陛下でしょうね。
こんな感じで当時の写真が大々的にディスプレイされていました。
他にも宿泊した著名人の写真がこれでもかと飾られており、錚々たるメンツなのは確かなのですが、例えば渥美清さんとか藤本義一さんとか山田洋次さんとか、まぁ言っちゃなんですが古めかしい男性諸氏ばかりで、あぁ老舗旅館ってこんな感じなのね、という感じでした。
既に鬼籍に入られた方の割合の方が高そうな写真の中で、X-JAPANのYOSHIKIさんだけが一人若々しくて浮いていたのですが、調べたらこの方も昭和40年生まれなんですね。
旅館内に3ヶ所ある温泉を堪能
創業昭和7年という老舗ですが、当然ながら建物はリニューアルしてあり衛生的です。
が、基本的にはやはり古い造りなので、客室の設備は古く、ところどころ築何十年?と聞きたくなる箇所がありますね。
今回泊った和室は広さは充分で、トイレもウォシュレット暖房便座になっていましたが、洗面所やトイレはかなり狭く、いかにも昭和の旅館の客室という感じでした。
ロビー周りはこんな感じで立派なんですけどね。
館内には温泉が3カ所あり、それぞれ露天風呂、建物の最上階にある展望風呂、檜造りの風呂、になっています。
客室のTVから、それぞれの温泉の混み具合と掃除中かどうか、が確認できるようになっていて、これは良いシステムだと思いました。
お湯はなんかヌルッとしていて独特でした。
美人の湯、とか言われているようですが、なんかトロみがあるというか、片栗粉混ぜた?という感じです。
まぁ普通に気持ち良かったです。
バスタオルは各温泉の脱衣所に大量に置いてあり、使い放題です。
なので、何度でも温泉に入る事ができます。
これも温泉目当ての客にとっては有難いですね。
これは中庭にあるでっかい池で、オサレな造りで映えスポットです。
奥には室内、室外プールもあります。
とにかく敷地が広いので設備も充実しており、やはり老舗の温泉旅館だけあって「団体客」を想定した造りになっています。
食事について
夕食、朝食は旅館内のレストランで提供され、夕食は懐石のコース、朝食はビュッフェ形式でした。
懐石のコースは品数が多く、飽きないしどれも美味しかったです。
飛騨高山と言うと飛騨牛が有名ですが、朴葉味噌で焼く飛騨牛のステーキがコースの一品として出ました。
ただまぁコース料理なので量は少ないです。
飛騨牛をガッツリ食べたい、という方はそういう専門店に行った方がいいでしょう。
朝食のビュッフェは、まぁ普通に美味しいという感じなんですが、地元で採れる林檎を使っているのか、リンゴジュースがすごく濃厚で果肉たっぷりでした。
すりおろし林檎か?というぐらい実が入っていて美味しく、何杯もおかわりしましたね。
これ壜とかで買ったら高いんだろうな、と思いました。
持って帰る荷物が重いのはまっぴらゴメンなので敢えて買いはしませんでしたが、美味しかったなあ。
良くも悪くも昔ながらの温泉街
下呂の印象ですが、リゾートや観光地ではなく、あくまで昔懐かしの温泉街っぽい、です。
昭和とかバブル時代に会社の慰安旅行で来るような街、といった風情です。
慰安旅行とか行った事無いですが、なんかそんな感じ。
今回は一泊二日の旅行で、1日目も2日目も多少時間はあったのですが、ハッキリ言って観光するような場所では無いです。
だって周りにあるのはホテル、旅館、ホテル、旅館だけですからねえ。
これは客室から飛騨川の方を撮った朝方の写真ですが、周りは山に囲まれているものの、とにかくホテルが目に付きます。
飛騨川は澄んでいて綺麗で、川遊びや、泳いでいる人がいるぐらいでしたが、まぁ観光地じゃないですね。
道路沿いの小川も綺麗で、温泉街とは言えゴミゴミした感じはありません。
唯一の観光スポットっぽいのがこの合掌村で、世界遺産の白川郷のミニチュア版ですね。
合掌造りの家が数件あり、食事処、喫茶処もあります。
入場料は大人一人800円ぐらいだったかな。
こんな家、黒澤明の映画でしか見た事なかったです。
私は黒澤明の映画は結構好きなので「うわァーまんま七人の侍やん!」と喜んであちこち見て回りましたね。
外国人の姿もちらほら見えましたが、彼らもそんな感覚だったんでしょうか。
映画「犬神家の一族」に出て来たような不穏な和室に豪勢なひな壇が置いてあります。
ここへ来て初めて知ったんですが、こういう合掌造りの家って2階部分があって、2階では養蚕業を行っていたそうです。
グロいカイコの模型が置いてあります。
2階でこんな事してたら、私が大好きなダリオ・アルジェント監督の最高傑作の一つ「サスペリア」状態になるんじゃないかとコレを見た瞬間にゾッとしましたね。
上からこんなグロい蟲がポトッと落ちてきたらと想像すると身の毛がよだちます。
ミニチュア版でこれだけ趣があるって事は、白川郷ってやはり世界遺産というだけあってもっと凄いんでしょうね。
この合掌村、飛騨川から結構山の上まで登ったところにあります。
バスも出ていますが本数が少ないので、行くならタクシーをおススメします。
ワンメーターぐらいだったかな。
まぁ正直、黒澤映画とか全く観ない人と一緒に行くと「え、何コイツこんなモノ観て喜んでんの?」とドン引きされる事だけは保証します。
なので、一緒に行く人には事前に「七人の侍」「犬神家の一族」「二百三高地」あたりを観せておきましょう。