今年の4月にIntel Corei9 14900KFを積んだゲーミングPCを組んだのですが、そのPCで採用した初めての簡易水冷クーラーNZXT KRAKEN Elite RGB 360が1ヶ月でぶっ壊れました。
私は元々簡易水冷クーラーについては特に耐久性について全く信用していなかったのですが、5万円超のパーツがたった1ヶ月で故障するという憂き目に遭ってしまい、流石に呆れ返ったのでCPUクーラーは空冷にする事にしました。
採用した空冷クーラーはSCYTHE MUGEN6 BLACK EDITION デュアルファンです。
今回の記事では常時メルトダウン寸前爆熱CPUで有名なCorei9 14900を空冷でまともに運用する事ができるのか、実際試した結果をレビューしたいと思います。
BIOS設定など
電力制限253W・CPU温度制限100℃で、オーバクロックや電力制限解除は行いません。
あくまで安定動作が最優先です。
PC雑誌系のレビューサイトは大体この設定で行っているようです。
また、空冷の環境については、CPUクーラー以外にはPCケース(NZXT H9 Flow)に最初から付いている側面吸気120mmファンx3+背面排気ファンx1のみの場合と、最大風量76.67 CFMのオウルテックPCケースファンx6を追加した場合でどれぐらい温度差が出るかも計測しました。
追加のPCケースファンをこの製品にした決め手は、76.67CFMという結構な風量に加えて、ファン同士を直接本体付属のコネクタで連結することができ、マザーボードへ繋ぐケーブルがファンx3に対して4Pin1カ所で済む、という利便性です。
追加した6個のファンは上面吸気x3、底面吸気x3で配置しており、NZXT H9 Flowに最初から付いている側面吸気x3と合わせて合計9個の120mmファンで給気し、背面から120mmx1個のケースファンで排気する形になります。
FF14「黄金のレガシー」ベンチを回した際のCPU温度を水冷・空冷で比較
FF14「黄金のレガシー」ベンチのバージョンはv1.0を使用しています。
何故v1.1じゃないのかというと、ベンチv1.1がリリースされた頃にはNZXT KRAKENが既にぶっ壊れていたのでデータが無いからです。
以下はMSI Afterburnerで計測したベンチマーク開始から終了までのCPU温度です。
青:KRAKEN
緑:MUGEN6 + Owltech
赤:MUGEN6
最低温度と最高温度の差
アイドル時のCPU温度
NZXT KRAKEN Elite RGB 360 | MUGEN6 | MUGEN6 + OWL-FS1225ARGBx6 |
35℃ | 38℃ | 38℃ |
ベンチ中の最高CPU温度
NZXT KRAKEN Elite RGB 360 | MUGEN6 | MUGEN6 + OWL-FS1225ARGBx6 |
76℃ | 87℃ | 85℃ |
平均CPU温度
NZXT KRAKEN Elite RGB 360 | MUGEN6 | MUGEN6 + OWL-FS1225ARGBx6 |
48.5℃ | 57℃ | 54℃ |
簡易水冷のKRAKENと比較すると空冷のMUGEN6は、アイドル時こそ3℃しか差がありませんが、FF14ベンチを回した際の最高温度はケースファンx6を追加した状態で+9℃になります。
ケースファンx6を追加した場合と追加しない場合の差は2~3℃程度で、最大風量76.67CFMのファンを6個も追加してこんなもんか、という期待外れの結果となりました。
文字通り「焼け石に水」程度の効果ですが、まぁ無いよりはマシですね。
結論として、FF14のベンチマーク程度であればCPU温度は85℃で回るので全く問題無く運用できる、という事になります。
ベンチマークソフトでサーマルスロットリングから-15℃の状態なので、「黄金のレガシー」本編のプレイも当然問題無いと言えます。
ベンチマーク芸人御用達のCINEBENCH R24を回してみた
まずマルチコアを回してみたのですが、速攻で100℃に達してそこに張り付きました。
もうベンチを起動した瞬間に100℃になるので、水冷クーラーアンチの私も流石にギョッとしましたね。
シングルコアでは55℃~80℃の間を行ったり来たりしています。
ベンチマーク芸人からすると「それ見たことか、Corei9-14900、しかもKモデルを空冷で運用とか無駄にも程があるだろ」と大はしゃぎする結果かと思いますが、スコアを見てみましょう。
マルチコアで2121、シングルコアで130出ています。
これは水冷クーラーで回しているレビューサイトのスコアと全く変わらない値になっています。
つまりCPU温度が100℃のサーマルスロットリングに常にひっかかっている環境でも、水冷で85℃~90℃ぐらいで回っている環境と同じ性能を発揮しているという事になります。
もちろん同じスコアならCPU温度は低い方が「気分の問題で」良いに決まっていますが、100℃というのはIntelお墨付きの温度制限なので、正に「気分の問題」でしかないと言えます。
少なくとも性能面ではCINEBENCH R24を空冷CPU環境で回しても普通に最高スコアを叩き出すという事です。
結論
つまるところ通常使用であればCorei9-14900は空冷でも充分運用できます。
ベンチマーク芸人は「電力制限、温度制限を解除してOCし、400W、CPU温度120℃超えじゃないと意味ねーwww」とか言うでしょうが、じゃあお前は液体窒素で冷やしてクロック9Ghzで運用するんだな?って話です。
とは言ってもCINEBENCH回したら速攻でサーマルスロットリングにひっかかるのはヤダ、という方は水冷クーラーを積めば宜しいかと思いますが、私はあんないつポンプが停止してメルトダウンするか分からん危なっかしいパーツは二度と積みたく無いです。
メルトダウンと言えば最近のPCパーツはグラボ・マザボ・ケースファンまで虹色にビカビカ光りまくる田舎の珍走団仕様になってて気分が悪いです。
例えばCPUやGPUの温度に比例して水色~赤色になるとかであれば意味があって良いかと思うんですが、そういう設定あったりするんですかね。
臨界点超えるとデーモンコアばりに青色に光るとか。
かつての私がそうだったように「Corei9 14900を積みたいけど、そうなると水冷クーラーにしなきゃならんのが嫌だなあ」とひっかかっている人も多いと思いますが、この結果が参考になれば幸いです。