インテル13世代、14世代のデスクトップ向けCPUがマイクロコードのバグによりマザーボードに対して想定以上の電圧を要求し、CPUの回路自体が物理的に損傷する、という衝撃的なニュースが先日世界を駆け巡りました。
元々該当CPUは発売当初から、負荷の高いPCゲームをプレイしているとゲームがハングアップしたり、最悪ブルースクリーンが発生するという報告がありました。
インテルはこの現象をずっとマザーボードメーカーのせいにしていましたが、2024/7/22にようやく、実際はインテルがマザーボードメーカーに提供していたマイクロコードがそもそもバグっていた事を認め、8月中旬を目標に修正したマイクロコードをリリースすると発表しました。
この修正マイクロコードが私の使っているマザーボードの最新BIOSに反映されたので、早速ダウンロードして更新してみました。
気になる性能低下の有無についても調べます。
不具合対象CPUはK無しの非OCモデルにも拡大
当初は13世代、14世代デスクトップ向けCPUのKモデル(オーバークロックモデル)のみで不具合が起きる、と言われていましたが、最新の情報ではK無しモデルにも同じ問題が発生する可能性がある、という事になっています。
つまり、対象CPUは以下という事になります。
Core-i5 | Core-i7 | Core-i9 | |
13世代 Raptor Lake |
13400(無印/F) |
13700(無印/F/K/KF) | 13900(無印/F/K/KF/KS) |
14世代 Raptor Lake Refresh | 14400(無印/F) 14500 14600(無印/F/K/KF) |
14700(無印/F/K/KF) | 14900(無印/F/K/KF/KS) |
要するに13世代、14世代のデスクトップ向けCore-iシリーズは全滅って事ですね。
オーバークロックモデルかどうかに関わらず、i5,i7,i9の13000番台、14000番台のCPUは全てについてこの問題が発生する可能性があります。
BIOS設定がメーカーデフォルトでもCPUがぶっ壊れる可能性がある
私は今年4月にCore-i9 14900KFでゲーミングPCを組んだのですが、BIOSの設定はメーカーデフォルトのまま弄っていません。
つまりオーバークロックモデルのCPUに対してオーバークロック設定は特に行っていない状態となります。
ですがインテルの発表によるとオーバークロックを行っていなくてもマイクロコードのバグに起因する高電圧問題は発生するらしいです。
まぁ非オーバークロックモデルのCPUでも問題が起きるって言ってるぐらいですからね。
私は今回新PCを組む前に、高負荷ゲームをプレイ中にインテル13世代、14世代のデスクトップマシンでハングアップするという現象が頻発している、という噂を知ってはいたのですが、どうもゲームのバグでは無くマザーボードのBIOSを最新版にすれば起きなくなるらしい、とも言われていたので、普通にBIOSを更新して運用していました。
このCore-i9 14900KFで組んだPCで、負荷が高いゲームに分類される物としては「エルデンリングDLC」「ファイナルファンタジー14(黄金のレガシー)」をプレイしていたのですが、今のところ特にハングアップするわけでも無く、ブルースクリーンも発生していません。
なので、このインテルCPUぶっ壊れ問題についても「まぁ自分のPCでは問題起きてないし大丈夫だろう。オーバークロックもしてないし。」と思っていたのですが、このマイクロコードのバグに起因するCPUの物理的な損傷は、時間をかけて徐々に進行していくらしい。
しかもオーバークロックしていまいが、メーカー推奨設定だろうが関係無し。
使い始めは問題無くても数ヶ月程度でCPUの損傷が顕在化し、顕在化した時点ではもう修復不可能な状態になっていて「手遅れ」だそうです。
そうなるとそのCPUは使い物にならなくなっているので、交換以外の解決方法はありません。
インテル曰く「対象CPUの全ての個体で問題が発生するとは限らない=運が良ければ壊れないかも」との事ですが、今のところ「損傷がどの程度進行しているか」を可視化する手段がありません。
nVIDIAのドライバーインストールを5回以上連続で行う、とか、CINEBENCHを何回も回す、要は意図的に繰り返しCPUを高負荷状態にする、その課程で問題が起きたらCPUの損傷が致命的なレベルまで進行していると判断できるらしいんですが、なんだその原始的な方法は?面倒くせぇんだが?って感じですね。
修正マイクロコードがリリースされたのでBIOS更新してみる
この問題に対応するマイクロコードパッチはマザーボードのBIOSに含まれる形で提供されるので、私はAsrockの公式ページから修正BIOSを入手しました。
マザーボードのBIOS更新手順はお使いのマザーボード及びメーカーによって異なるので自分で調べるしかありません。
私が組んだPCのマザーボード(ASRock Z790 Pro RS WiFi)の場合は以下の手順になります。
- マザーボードの公式ページから最新BIOSをダウンロード(zip形式)
- zipを解凍
- 解凍したBIOSをFAT32でフォーマットしたUSBメモリにコピー
- PCを再起動してF2でBIOS画面を起動
- Tools > Instant FlashでUSBにコピーしたBIOSを選ぶ
- BIOSが更新されるので放置して待つ
- PCが自動で再起動される
マザーボードの公式ページから最新BIOSをダウンロード(zip形式)
ググってマザーボードの公式ページを探し、最新BIOSへのリンクを辿ります。
microcode 0x129が今回インテルが提供した修正パッチです。
これをダウンロードします。
zipを解凍
zipを解凍すると.ROMが1個だけ入っています。
これがBIOSです。
このファイルをFAT32でフォーマットしたUSBメモリにコピーします。
BIOS画面を起動してInstant Flashで適用
USBメモリを挿したままPCを再起動し、F2ボタンを連打してBIOS画面を起動します。
※上のスクリーンショットでは既にBIOS更新済みなので、画面左上にBIOSのバージョン12.01が表示されています。
右下のTools > Instant Flashをクリックして、その後はダイアログの指示に従ってUSBメモリにコピーした.ROMを選択するとBIOSのアップデートが始まります。
アップデートが完了すると自動でOS再起動がかかります。
この再起動が問題無く成功するかがいつもガクブルものなんですが、まぁ今時のマザーボードはそんなにBIOSアップデートでトラブルは発生しない・・・はず。
とは言えBIOS更新は完全に自己責任で、最悪PCが起動しなくなるというリスクもある事は覚悟しておく必要があります。
今回のマイクロコード修正でCPU性能って低下しないの?
さて、今まではマイクロコードのバグで想定以上の高電圧がCPUにかかっていたわけで、そのバグが修正された今、CPUは修正前と同じパフォーマンスを発揮できるのか?というのが最も気になる点だと思います。
CPUにかける電圧が高ければ高いほどパフォーマンスは向上しますので、今までこのCPUの通常性能だと思っていたのが、バグによる想定外に高い電圧のおかげだったのでは?という疑問が湧くのは当然ですね。
インテルはその点に関して「一部のゲームを除き影響は微々たるもの、ベンチの値は通常のブレ幅に収まっている」と発表しています。
その「一部のゲーム」は「Hitman 3: Dartmoor」だそうですが「わずかに大きな変化が見られた」とか言う意味の分からないコメントがされています。
「わずかに大きい」って、お前は何を言ってるんだと。
そもそもCPUをぶっ壊すような糞コードを世に放った糞インテルのたわ言なんぞ信用ならないので、FF14黄金のレガシーベンチマークv1.1を回してみました。
BIOS更新前のスコアは16953なので、誤差の範囲ですね。
少なくともFF14黄金のレガシーベンチマークについては、マイクロコード修正パッチによる性能低下は無い、と言えます。
CINEBENCH R24も回してみました。
マルチコア:2116、シングルコア:136です。
これもBIOS更新前の値と殆ど変りません。
どうやらマイクロコードの修正パッチを当てても、修正前と比較してパフォーマンスは低下しないようですね。
まぁ仮にパフォーマンスがボロボロに低下したところで、実際問題ユーザーにとってパッチを当てないという選択肢は無いので、これは朗報と言っていいでしょう。
所感
CrowdStrike Falconの糞アップデートで世界中のWindowsPCが一斉にダウンし(私も会社のPCで喰らって仕事を切り上げざるを得なくなった)、間を置かずに天下のインテル様が欠陥商品をドヤ顔で売り続けていたというのが判明したわけですが、地球規模のシステムエラーは太陽フレアでもAIの反乱でも無く、やっぱりボンクラな人間が原因で起きるんだなぁと痛感しますね。
60年前にAIと人間のどちらが新人類に値するのか問いかけたS・キューブリックがいかに偉大だったかが分かります。
昨今大はやりの、詐欺師の最新商売ネタに過ぎんナンチャッテ糞AIがHAL9000レベルになるには一体あと何百年かかるんでしょうねえ。