原作未読、全く情報無しの状態で観てきました。
私は弐瓶勉さんの作品は「シドニアの騎士」のアニメでハマり、速攻で原作を全巻購入したクチです。
この「BLAME!」は弐瓶勉さんのデビュー作だそうで、シドニアの騎士のアニメでも原作でも劇中劇として出てきたのは知っていました。
アニメ中で出てきた「劇中映画」としての「BLAME!」の映像は、これがまた凄い作りこみで、今回その原作本編が劇場アニメ化したという事で観に行きました。
観る前は正直期待度は低かったが・・・
2クールに渡ってアニメ化された「シドニアの騎士」は、絵柄は決して売れ線とは言えないのですが、圧倒的に話が面白く、常に先が気になる展開で、原作は読み出すと読了するまで止まらない、間違いなく傑作です。
ですので、「話はそこそこ面白いに違いない」とは思っていました。
とは言っても、弐瓶さんの「デビュー作」ですし、この人の作品を2時間弱の劇場アニメで収拾させるのは無理があるだろう、という懸念もあったんですね。
せいぜい「まぁ、105分にまとめたにしては悪くないってレベルなんだろう。」ぐらいの期待度でした。
いや、予想を裏切られましたね、いい方に。
観終わった後は、「あんな面白い話を105分で表現できるんだね!」と感動しました。
むしろ、「え?まだ105分しか経ってないの?」というぐらいテンポも良かったです。
弐瓶さん自らが総監修している効果なのか、とにかく構成が素晴らしい。
下手なハリウッド映画よりよっぽど劇場で観る価値がある
バレ無しと言う事と、私自身原作未読ですので、設定やあらすじを説明するつもりはありませんが、この「BLAME!」劇場版のおススメポイントを紹介したいと思います。
まず、世界観、ストーリー、キャラクターのいずれもが魅力的なんですが、簡単にまとめてしまうと
- マトリックス
- ターミネーター
- マッドマックス
- ブレードランナー
のいいとこ取りをした上でオリジナリティがある、と表現してしまいましょう。
これで面白くならないワケがないですよね。
上で挙げた映画はどれもSF映画の傑作で、二番煎じ映画も星の数ほど作られておりますが、ただパクッたような作品が成功するわけもありません。
「BLAME!」はこれらハリウッドエンターテイメント的SFの分かりやすいプロットを受け継ぎつつ、弐瓶さん独特の言語で再構成されていて「80年代SFの懐かしい空気を漂わせながら、とても強烈なオリジナリティを感じる」作品だと思います。
ハリウッドで公開しても全く恥ずかしくないし、欧米人にも絶対に受けるクオリティだと思いますね。
男はカッコいいし、女の子は可愛い。声優も一流。
えー正直言いますと、「BLAME!」は宣伝用ビジュアルを見てあまりいい印象が無かったんですね。
この人、霧亥(キリイ)っていう名前の主人公なんですが、真っ黒イケメンで、なんかFF15に出てくるホストみたいなんです。
名前といい格好といい、私が大嫌いな、「某ARネトゲ中毒の、絶叫するだけでなんかスピードアップ(笑)する香ばしいガキ」をほうふつとさせて「こいつが主人公かぁ・・・」と思ってたんですよ。
もちろん「シドニアの騎士」での劇中映画でもそんな軽薄な様子じゃなかったんですが、見た目が余りに優男なんでね。
すみません、思いっきり誤解してました。全然違うタイプの方です。
すっげぇカッコいいです。渋い方向で。
せっかくの桜井孝宏のイケメンボイスなんですが、とにかく無口。
シュワルツェネッガーかデッカードかマックスかって言うぐらい、滅多にしゃべらない。
背中と銃のみで語る男ですよ。
バンパイアハンターDっぽいと言えば伝わる人もいるでしょうか?
無感情に見えるのに何故か無言で人助けする、まぁ最後まで謎なキャラクターなんですが、こういうヒーローは大好きです。
ちょっと内容に触れてしまいますが、ラストの後姿は「某映画2の溶鉱炉のシーン」を思い出しましたよ。
雨宮天さん演じるヒロインの「づる」。
基本3DCGなんですが、女の子の可愛さも「シドニアの騎士」から着実に進化してますね。
この子も含め、女の子は全員可愛いですよ。
なんか「スピーシーズ」に出てきそうな、敵に見えるけど味方のおねーさん。
たぶん「スピーシーズ」並みに強い。
花澤香菜さんの安定の演技は流石だと思いました。
この方、芸達者になったよねぇ。
LIVE ZOUNDの爆音は、爆風を感じるレベルの重低音
今回、川崎チネチッタでの「LIVE ZOUND音響システム」で上映されたヴァージョンを観てきたのですが、こういう爆発がボンボン起きる映画ではこの音響、効果絶大ですね。
劇中で「なんか荷電粒子砲っぽい銃」を主人公が撃つんですが、その度に、本当に椅子が震えるぐらいの重低音が再生されます。
「ライブ用の音響システム」って事らしいので、ああそうね、ぐらいの感想なんですが、臨場感は確実に増しますね。
ただまぁ、通常のシーンではそんなにありがたみが無いような・・・音が360度ぐるんぐるん回ってる感じもしないしねぇ。
実写映画のBlu-ray化だと、7.1chで収録された映画を対応ヘッドフォンで聴くと、ヘッドフォンが震えるぐらい低音が強調されるんですが、この「BLAME!」もソフト化される際にはぜひとも7.1chで出して頂きたい。
最近ではアニメでもソフト化の際に2.1chやDTS HeadPhone Xで収録してくれる事があり(たまにですが)、TV放送とは明らかに違った、劇場と遜色の無い音響を楽しめるようになってきました。
『ガールズアンドパンツァー』のシリーズや、最近だと『聲の形』『幼女戦記』とか、Blu-rayでは音が豪華になってますよね。
Blu-rayを買うかどうか悩んだ時に、音響が良くなっているとかなり購入へ傾くのは私だけでしょうか。
原作未読でも全く問題ないので、ぜひ劇場で
105分のオリジナル作品として観ても全く問題ありません。
バックストーリーや設定が全く理解できない、といった難解なものでもありませんし、少なくとも映画好きならすんなりのめり込めます。
繰り返しになりますが、有名俳優が出てるってだけで配給されている二束三文のショボイ洋画を観に行くぐらいなら、こちらを観た方がよっぽどいいです。
エンドクレジットは「300」のアレ
私はザック・スナイダーの映画でも特に「300」が大好きなので、「BLAME!」のエンディングでは震えましたよ。
というか、アレ、やりたいですよね、CG映画としては。
すごくカッコいいです。
ただ残念なのは尺が短い。予算が尽きたのでしょうか?
あと、曲がちょっとね、合わないですよね。
Black Sabbath の War Pigs 並みとは言わないけど、もうちょいアドレナリン出るようなハードなロック調だと良かったんですが。
あえて苦言を言わせてもらうと
Hな要素が皆無です。
ヒロイン達の除装シーンでちょっと期待したんですが、全くですね。
ま、まぁシドニアと違ってそういう作風じゃないんでしょう。
2017年
原作 弐瓶勉『BLAME!』 105分 キャスト: 霧亥:櫻井孝宏 |
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オススメ度:5.0/5.0 | ぜひ劇場で観ましょう |